* coelacanth *
*coelacanth*/那々瀬
自作BLゲームサイトの跡地です。ゲーム作ったり小説書いたりします。
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■2024/11/20
くるっぷ使い慣れてきたのでしばらくそっちにいます~。
投稿内容はほぼココと同じ。くだらない呟きもします。
■2024/11/03
FFFTRでの更新が面倒になってきたのでお試しで外部のSNSを使ってみます。
合わなかったらすぐ戻るかもですが、よければ覗いて下さい。
フォローは承認制ですが基本通します~。
>https://crepu.net/user/coelacanth_n
■2024/10/26
(初出)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑫。
暗殺者ルート。
女体化した主人公は暗殺者とともに彼の実家へ。
「僧正」事件の58年後の《首斬り協会》。
白から黒へ沈みゆく。新たな惨劇の始まり。
シンリ=主人公(受)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
アーネリッサ=サガンの妹
*
【シンリ】
「……この地は暖かいな」
小雨が降りしきる霧の夜は一般的には寒さを感じるものだという。
心地よさを感じる俺はやはり異端らしい。
【サガン】
「そりゃあ君のいた豪雪地に比べたらね。あそこが寒すぎた」
【シンリ】
「俺、霧雨って初めてかも」
【サガン】
「シンリ、その一人称は封じるべきだね。
僕と二人の時はいいけど、ここからは基本『私』と言いなよ」
視線の先、跳ね上げ橋の突き当りの扉が開いて赤みのある灯りがこぼれた。
ランプを持った人影が足音もなく近づいてくる。
サガンが俺の肩を抱いた。
【???】
「――兄様」
【サガン】
「……やあ。アーネリッサ」
【アーネリッサ】
「うふふ、兄様……お勤めお疲れ様でした。
お祖父様が首を長くしてお待ちですよ」
【サガン】
「後にしてくれないかな。長旅で疲れてるんだ」
彼女はそれに応じず俺の方にランプを掲げた。
【アーネリッサ】
「こちらは? スカウトしてきた新入りの方?」
【サガン】
「『彼女』はシンリ。僕の奥さんになる人」
【シンリ】
「…………っ!」
奥さんって……たしかにそういう設定にはなっているけど。
兄やカヴィガンとは違う呼称に妙な気恥しさを覚えた。
【アーネリッサ】
「まあ!」
彼女はそれはそれは嬉しそうに笑った。
【アーネリッサ】
「それは失礼しました。わたしは妹のアーネリッサと申します」
一切の戸惑いも見せずにすんなりと受け入れた彼女に、俺の方が
面くらってしまう。
以前にもこんなことがあって慣れている、というような印象。
たんにサプライズに強い子という可能性もあるが。
霧の中、先をゆくアーネリッサのランプに城の内部へと導かれる。
サガンはその間、ずっと俺の肩から手を離さなかった。
【アーネリッサ】
「今宵はごゆっくり。また明日の朝食の席でお会いしましょうね」
思っていたより仲が良さそうじゃないか、と妹が消えて行った廊下を
見たまま言うと、肩に置かれていた熱が離れた。
【サガン】
「――あの子の方は、まだね。もう一人の方が問題児なんだ」
【シンリ】
「もう一人……? 彼女の他にもきょうだいが?」
【サガン】
「双子だと言わなかったかな」
【シンリ】
「え? ……あ、あー、そういうことか」
『双子の妹がいる』というのはサガンが双子で同じ日に産まれた
妹がいるという意味ではなく、彼に妹が二人いて、その二人が双子という
意味だったのか。
【サガン】
「僕は長男だけど跡取りとしての恩恵を受けたことはないな。
祖父は僕には厳しくて、妹たちの肩ばかり持つから困ったものだよ」
【シンリ】
「へえ……どこの家も色々あるんだな……」
【サガン】
「色々どころか……全員人殺しなんだよ。
君はそんな一族のもとに嫁ごうとしている」
手探りで手首を握られて、はっと顔を見上げる。
【サガン】
「シンリ」
耳に唇を寄せられて吐息を吹き込まれた。
【サガン】
「しようか。種付けセックス」
【シンリ】
「…………っ」
その時、一旦は消えたはずの妹その1が戻ってきた。
【アーネリッサ】
「兄様、お祖父様が今すぐお二人に会いたいそうです。
お部屋に行く前に顔を見せに行ってあげてくれませんか?」
【サガン】
「…………」
サガンは足を止めたものの返事はしなかった。
【アーネリッサ】
「うふふ……どうしたのです?」
蝋燭の炎がフッと消えるようにアーネリッサの顔から
笑みが薄れていった。
【アーネリッサ】
「あの方が早寝なのは知っておいででしょう。
家長をお待たせするものではありませんよ」
その沈黙に耐えきれなくなったのは俺だった。
握られた手首を引いて俺はサガンの背中に声をかける。
【シンリ】
「行こう。俺……、じゃない、わ、私も、会いたい」
*
■2024/10/25-②
(再掲)
絵担当の雅さんへ戦慄~の設定を説明する用に作った画像。
>館の敷地内の図。避難小屋に連れ込まれたり連れ込んだり。
>館までの道のりの図。過酷な雪山で凍死者続出。
でも攻たちは死なずに館まで辿り着きます。なぜなら攻だから!(?)
■2024/10/25
(初出)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑪。
暗殺者に奸計を知られてしまった主人公。
お互いのエゴのぶつかり合い。
実は暗殺者ルートが二番目に難しい攻略難度。
ということは一番難しいのはどのキャラか?
このような僻地に来て下さってる方には予想がつくと思うので
あえて言いません……
(この言い回し前にも使ったことがある気が)
シンリ=主人公(受)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
*
【サガン】
「あの忠実なる執事とメイドも君と一緒に死ぬつもりなのか?」
【シンリ】
「彼らは助かる。脱出経路があるから館が沈没する前にそこから逃がす。
――サガン、お前は助かりたいか?」
【サガン】
「そりゃあね」
【シンリ】
「助けてやるよ。ただし誰にもこのことを話さないという条件付きだ。
これを守れなければ助かる方法は教えない。
お前も《チェイン・デス・チェイン》の道連れになってもらう」
【サガン】
「……怖いなあ。
でもちょっと好きになりそうだよ。君のこと」
しばらく沈黙が落ちた。
不思議とカヴィガンと同様な状態になった時ほど怖くはない。
ゴウ、ゴウ……ゴォ……ゴォ……《狂気》が外で暴れている。
窓へ顔を向けると窓ガラスの三分の一は雪に埋まっていた。
俺は本当に……この雪とともに埋葬されるのか。
【サガン】
「……、……、……」
何か言われて、意識が後ろにいる暗殺者へ戻る。
振り返ると、彼はさっき見た時のまま脚を組んで座っていた。
【シンリ】
「……? よく聞こえなかった。もっと大きな声で話せよ」
【サガン】
「外の音が大きくなったからかな。――ちょっと失礼」
彼は距離を詰めて俺のすぐ隣に座ってきた。
【サガン】
「一応訊くけどさ……」
【シンリ】
「ちょ、おい、くすぐったい……!!」
耳もとで喋りかけられて肩を竦める。それを意に介してない様子で
彼は潜めた声で続けた。
【サガン】
「館の外にも小屋が四つあるだろ? 四角い敷地の角に一つずつ……
館からあそこまで五分もかからなそうだけど、《狂気》の間に
そこに避難しておいて、館の崩壊の瞬間を見物するっていうのは?」
身を退いて距離を取った。手のひらで耳を撫でて刺激を鎮めた。
【シンリ】
「……館だけが綺麗に沈むと思ってるのか?
氷が割れて地盤が沈下すればこの辺一帯は巻き込まれて崩れてしまう。
お前が言った小屋――四つの避難小屋も例外じゃない。
雪崩も起こるだろう。予想だと山の中腹までは危険地帯と化す」
【シンリ】
「《狂気》が止むまでに安全な場所に逃げようにも、避難小屋より
先に進んだら凍死する。計算上はな――命が惜しくないのなら試してみればいい」
【サガン】
「ふーん。君が強気になるわけだ。
依頼人にとっては絶望的な状況だね。崩落死か凍死しか道がないわけだから」
【シンリ】
「……気が変わったか?」
【サガン】
「ちっとも。拷問されようが依頼人の名を漏らす気はない」
サガンは立ち上がってサイドテーブルの方を見た。
一瞬ギクリとしたが、時計を確認しただけらしい。
【サガン】
「だけど君の狂気すら感じる一途さに敬意を払い、秘密は守るよ」
【シンリ】
「…………」
これは喜ばしいことなのだろうか?
【サガン】
「あの三人にバレたら脱出経路を教えろってひと悶着が起きそうだし。
君は当然教えないだろうけど――」
【シンリ】
「当たり前だ……誰が教えてやるものか」
【サガン】
「でもさ、身体に聞いてやるとか、古典的かつ強引な手段に出られたら、
君は拒めるのか? 快楽に弱そうなのに」
【シンリ】
「…………っ」
【サガン】
「さっきの食堂での様子だと、難しいんじゃないかな。
初日とはずいぶん様変わりしちゃって、まあ」
【シンリ】
「余計なお世話だ……」
【サガン】
「健闘を祈るよ、頑張って」
サガンは手を振りながら出ていた。
俺に不安を植え付けておきながら……どこか楽しそうに。
*
■2024/10/24-②
テキスト量が増えてきて下までスクロールするのが
手間になってきたのでX(旧Twitter)形式にプロフィールを上に
もってきました。
■2024/10/24
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑩。
主人公は男にモテるけど婚約者も男にモテるという話。
それを執事から聞きモヤモヤする主人公。
首吊り幽霊の出る男娼窟(パワーワード)。
シンリ=主人公(受)
エーリッヒ=シンリの執事(攻)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
*
【エーリッヒ】
「知ってました? シンリ様。あの方も、男にモテるんですよ」
【シンリ】
「……!? ちょっと待って。なんでそんな事――」
さっきから驚いてばかりいる。
身まで乗り出して慌てる俺を、エーリッヒは目を細めて笑った。
【エーリッヒ】
「私がシンリ様のご命令で二、三度、カヴィガン様の仕事に同行
したことは覚えてらっしゃいますか?」
【シンリ】
「……あったかも。
俺が喪に服してて外に出られなかった時期だろ」
喪に服し、なんて言い訳だ。
実際には兄の死に打ちのめされて何もできなくなっただけだ。
ひと月ばかりカヴィガンとも対面できず、家業の方も
手付かずの状態だった。
そんな俺の代理としてカヴィガンと行動を共にしてくれたのが
エーリッヒだった。
他に頼れる者もいなかったため苦肉の策だったのだが、二人で滞りなく
遂行してくれた。
思えば俺が部屋から出られるようになったのは、その後からだ。
【エーリッヒ】
「先方の商売柄、安楽死に必要な道具を定期的に仕入れる
必要があるのはご存知ですね。主に毒薬劇薬の類ですが」
【エーリッヒ】
「ある時、表立って流通していない薬の橋渡し先として、
娼館が指定されたんです。そこは首吊り幽霊の出る男娼窟と有名で……」
【シンリ】
「お前たち、そんな所に行ったのか……?」
【エーリッヒ】
「聞けばイルゼ様もアルベルト様も行かれていたそうですよ。
この稼業で健全な界隈への扉が開かれることは滅多にないのでは?」
【シンリ】
「……たしかに」
【エーリッヒ】
「カヴィガン様はそこへ長年出入りしているそうで
――客としてではないですよ、仕事として来てるだけで――
男娼たちに、そりゃあもう、ドン引きするくらい群がられて……
いわゆるお誘いを……」
お茶が喉を通らなくなった。
自分の知らない場所で知らない人間と交わるカヴィガン。
そんな当たり前のことが……ひどく、残酷な事実のように思えてくる。
だけどそれを俺に責められるのか? あれだけ好き放題しておいて。
【シンリ】
「もう、いい。そんな話……」
そう言ったのに、エーリッヒは構わず続ける。
*
■2024/10/23-②
(再掲)
イラスト担当の雅さんへ送ったキャラ身長表。
そろそろ何がしかのビジュアルを載せたい~。
■2024/10/23
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑨。
過去エピソード。
とあるスラム街。
女の子(レイラ)を変態から助ける兄と執事。
執事は館に来て五年の間に主人が二度変わっている。
(最初はシンリ母の執事→母が逝去したのでシンリ兄の執事に
→兄が逝去したのでシンリの執事に)
アルベルト=シンリの兄(攻)
エーリッヒ=シンリの執事(攻)
レイラ=二人に助けられた女の子
*
【アルベルト】
「……死んだ母に似ているな」
【エーリッヒ】
「ふーむ……そうですかね?
イルゼ様が大輪の薔薇ならこの女は萎れた小菊かと」
【アルベルト】
「行くあてがないのなら俺の家で雇ってやる。
ちょうどメイドを捜してたところだ」
【エーリッヒ】
「このひと癖ありそうな女を雇用するおつもりですか?
私が言うのも何ですが上品とは言い難いですし教養のカケラも
なさそうですよ」
【アルベルト】
「…………」
【エーリッヒ】
「おまけに、助けてやったのに礼を言うどころか、私たちから
逃げようとした恩知らずじゃないですか。他をあたりましょう」
【アルベルト】
「シンリは人見知りをする。
母に似ている女なら打ち解けられるかもしれない」
【エーリッヒ】
「これが本当の顔採用か……」
【レイラ】
「あっ、ちょ、ちょっと、あたしをどこに連れて行こうってのさ……!」
【アルベルト】
「氷の館《チェイン・デス・チェイン》――俺の家だ。
その恰好では雪山を歩くのは厳しい。暖かい服を買ってやる」
*
■2024/10/22
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑧。
久しぶりに全員揃っての朝食の席。
《狂気》=殺人級の雪嵐。
閉じ込められた者が最終的に至るのは殺人かセックスか?
シンリ=主人公(受)
バルサック=シンリの元家庭教師(攻)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
レノ=シンリの幼なじみ(攻)
エーリッヒ=シンリの執事(攻)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
*
【???】
「――ん。――シンリくん」
ジッと手元の麦パンが裂ける様を見つめていた俺は、呼ばれる声で
我に返った。
何度か呼んでいたらしく、食卓の四人の男たちが
俺を注視している――あんまり見るなよ……
【バルサック】
「今日で4日目ですね。シンリくん、そろそろ依頼人の正体に
見当がついてきた頃では?」
【シンリ】
「さあ。何度も言うけど、特定できたとしても話さないよ」
【レノ】
「まだそんなこと言ってんのかよ。まったく、どうかしてるぜ……」
【バルサック】
「はてさて、どんな報復を企んでいるのやら――
我々は無事にここから帰ることはできるのでしょうかね」
【シンリ】
「…………」
この手の疑惑を持たれることは想定済みだ。
バルサックだけではなく、他の奴も大なり小なり不安を抱いている
はずだと思う。
無差別で殺して回ったり、全員巻き込んで自死する……
人の尊厳を奪う最期を俺が企んでいる可能性も、きっと誰かは
考えている。
【バルサック】
「今のは冗談としても――《狂気》の後は、我々をここに留めておく
抑止力はシンリくんにはない。我々は自由に立ち去れる。
行かないでと可愛らしくお願いされたら別ですが」
【シンリ】
「……それはないな」
【バルサック】
「私としては、ここを立ち去る前に親密にしておきたいと
願っているのですが。他の方と同様にね」
【レノ】
「全然相手にされてないアンタと一緒にすんなよ。
オレはシンリとはもう十分親密なんだよ……!」
【シンリ】
「…………」
朝からやめろよ、そんな話題は……
上手く受け流せなくなっている。
以前ほど冷たくあしらうことができない。
カヴィガンばかりか、バルサックもレノもそれに気づいている。
【カヴィガン】
「……人の婚約者を篭絡しようとする発言は控えてもらいたい」
食堂が一瞬、水を打ったかのように静まり返った。
レノが肘をついてフォークを左右に振りながら、隣のカヴィガンを見やる。
【レノ】
「――ハッ、珍しいな。カヴィガン、アンタがそんなことを言うなんて」
【バルサック】
「本当に。今のは青天の霹靂でしたね」
【サガン】
「フッ……」
【カヴィガン】
「いい機会だ。ここで言う……今のような発言を今後も続けるつもりなら、
俺に対する侮辱と受け取らざるを得ない……警告はしたぞ」
【シンリ】
「…………」
言葉が出なかった。
レノじゃないが俺も同感だった。
カヴィガンが、こんな事を言うなんて。これまでなかったことだ。
【レノ】
「アンタなあ、何も分からないガキの頃に親が勝手に決めた婚約者に
どれほどの特権があるってんだよ~?
それだけで無条件にシンリに好かれるとでも思ってんのか?」
【カヴィガン】
「レノ。その手のフォークを下ろせ……」
【レノ】
「ふん」
【バルサック】
「おやまあ。カヴィガン氏にどんな心境の変化があったのやら。
ねえ、シンリくん」
【シンリ】
「…………」
どんなって。昨夜のことがきっかけとしか考えられない。
胸の鼓動が早くなって、カヴィガンの横顔を見られなくなり、
視線を手許の食事用ナイフの反射光へと落とした。
【エーリッヒ】
「お三方とも食事の席ですよ。――紅茶のお替り、どなたかいかがですか」
【サガン】
「僕、欲しいな。執事君、お替りもらえる?」
*
■2024/10/21-②
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑦。
再掲ではなく初出になります。
過去の断章。母親同士の密談。
息子同士を婚約させたいカヴィガン母 VS させたくないシンリ母。
彼女たちにも因縁があり……はい、百合です。わーい!!
シンリ=主人公(受)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
イルゼ=シンリ母
ドロレス=カヴィガン母
*
【イルゼ】
「シンリはまだ5つになったばかりだし、さすがに親子ほど離れてる人と
婚約はねえ」
【ドロレス】
「親子? カヴィガンは13歳だが」
【イルゼ】
「……あら失礼。20代だとばかり……」
【ドロレス】
「うちの息子は旦那に似て老け顔だからな。
しかし30過ぎれば8つの年の差も大した問題ではなかろう」
【イルゼ】
「30……それは気の長いお話ね。それに本人の意志はどうなるの?」
【ドロレス】
「我々にとって婚姻は、本人の意志が介在する余地がないものだというのは、
お前がよくご存知のはずだろう?」
【イルゼ】
「――――」
【ドロレス】
「お前には長男もいるがアルベルトは将来有望だと聞いてる。
そっちはビジネスパートナーとして悪くはあるまい」
【イルゼ】
「……考えさせて。夫に相談しないと――」
【ドロレス】
「ハッ、夫?」
【イルゼ】
「何がおかしいの?」
【ドロレス】
「あの男が我々に逆らえると思うのか? あの顔しか取り柄のない男が?」
【イルゼ】
「――娘じゃないから安心してたのに……」
【ドロレス】
「何だって?」
【イルゼ】
「私が結婚する時――あなた言ったわよね。
私に娘が生まれたら自分の息子の妻にしてやるって」
【ドロレス】
「……フッ」
【イルゼ】
「そう言うと思っていたから、私は男系家族のファルカーク家に嫁いだのよ。
あなたから子供を守るために……」
【ドロレス】
「男の子供には興味がなかったが、実際にこの目でシンリを見て気が変わった。
あれを息子の『女』にしてやるのも悪くない」
【イルゼ】
「この下衆……ッ! 子供たちを何だと思ってるの!?」
【ドロレス】
「アハハッ、怒れ、怒れ、怒れ!
私はお前の怒りに燃えている顔が好きなんだ。ゾクゾクするよ……」
*
【イルゼ】
「ちょっとシンリ! 母さまのお尻揉まないで!」
【シンリ】
「もんでないもん……」
【イルゼ】
「スカートから手を離しなさい!
ほらほら、ドロレスおばさんがお帰りよ。お別れの挨拶しなさい」
【シンリ】
「ばいばい……またきてね?」
【イルゼ】
「よ、余計なこと言わないでよ! このおばさんたちはもう来ないんだから!」
【ドロレス】
「フッ……坊主、早く大きくなりな。――楽しみに待ってるからな」
【イルゼ】
「…………!」
【カヴィガン】
「…………」
*
■2024/10/21
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑥。
メイドと暗殺者は知り合いだが他人のフリをすることに。
一人称「あたくし」のワケありメイドさん。
館が沈むのを知ってるのは主人公・執事・メイドのみ。
リスティス=シンリのメイド
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
*
【リスティス】
「――ちょっと、こっち!」
【サガン】
「あれ?」
【リスティス】
「誰かと思ったら《首斬り協会》のサガン・ソーンじゃないの!」
【サガン】
「ここでは『リスティス』と名乗っているのかい。何番目の名前なのかな?」
【リスティス】
「普通偽名を使うでしょ。
いくら家業といっても、堂々と真名で人の首を斬りまくる
とち狂った奴はあんたたち一族くらいなものよ」
【サガン】
「君こそこんな人里離れた僻地でメイドとはね。
玄関で目が合ったのに顔を隠す素振りをして他人のフリをするものだから、
ちょっと寂しかったよ。久しぶりくらい言ってくれても良くないかな」
【リスティス】
「シンリ様はあたくしの前身を知らないのよ。
それなのに……あんたのような暗殺者と顔見知りだってばれたら
どう思われるかわかったもんじゃない」
【リスティス】
「さすがにあたくしが裏切って《協会》の手引きをしたとは
考えないと思うけど……あの方は今、普通の状態じゃないから……」
【サガン】
「……のようだね」
【リスティス】
「あら他人事?
あんたたちがご両親とアルベルト様を殺したせいでしょ」
【サガン】
「それはまあ、仕事だから。依頼があれば粛々と首を斬るだけだよ。
依頼を受けた同胞も任務を果たしたに過ぎない」
【リスティス】
「やっぱり《協会》が関わってたのね。
ファルカーク一族の殲滅を《協会》に依頼したのは誰なの?
……って聞いてもどうせ教えてくれないんでしょうね」
【サガン】
「もちろん。依頼主の正体は我々の命より重いんだ」
【リスティス】
「でもシンリ様にはお考えがあるみたいよ。
三人をここに招いたのは何か思惑があってのことでしょうし」
【サガン】
「へえ。彼が何をしようとしてるのかも気になるけど、
君も……どうしてこんな家でメイドなんかを?」
【リスティス】
「あたくし? あたくしは……まあ、ちょっとね」
【サガン】
「……なるほど、あれが君の好みなのか。
いつぞやの酒場で出くわした時も彼と似た感じの男と一緒にいたっけ」
【リスティス】
「確かにシンリ様のお顔は好きだけど。
そんなんじゃなくて……あんたには理解できない事情があるのよ」
【サガン】
「まあいいさ。僕にもこんな辺境くんだりまで来た目的がある。
招かれざる客はそれが済めば出て行くよ。この地は寒すぎる」
【リスティス】
「出て……」
【サガン】
「ん?」
【リスティス】
「ううん、なんでもないわ。とにかく、シンリ様の前では
あんたとは無関係を通すから、そこんとこお願いね!」
*
■2024/10/20
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その⑤。
婚約者ルート。
キスした後、二人きりのお茶会での駆け引き。
衝撃の事実がこの先に。
シンリ=主人公(受)
エーリッヒ=シンリの執事(攻)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
*
3時のお茶の時刻になったが――今日の茶会の場所と指定した
応接室に現れたのはカヴィガンだけだった。
強制ではなく紅茶を飲みたい者だけが集えばいいだけなので、
現れない者がいても問題はないのだが。
レノはともかくバルサックやサガンまでいないのは初めてだ。
まさかカヴィガンに遠慮して、なんてことはないだろうが。
【シンリ】
「エーリッヒ、あの二人は?」
この言い方で分かってくれたようだ。
エーリッヒはティーポットを傾けながら、囁くような声で、
【エーリッヒ】
「バルサック先生とサガン様ですか?
先ほどお二人で図書館に入られるのを見ましたが……
お声がけしてまいりましょうか?」
【シンリ】
「いい。後から来るかもしれないから」
【エーリッヒ】
「かしこまりました」
テーブルにポットを置いて一礼するとエーリッヒは退去した。
【シンリ】
「…………」
【カヴィガン】
「…………」
き、気まずいな……。
配置的にもソファにL字に座っていることだし、手を伸ばせば
捕まえられてしまう位置関係だ。
二人きりだとすぐそういう雰囲気になる。前はそうでもなかったのに……。
それとも、サインが出されていたのに俺が鈍感で気づかなかった
だけなのか。
リスティスが焼いてくれたマドレーヌを摘まむ。
バターのいい匂いが鼻孔をくすぐり緊張感が若干ほぐれた。
そうだ、言いたいことがあったんだった。
【シンリ】
「あのさあ……か、勝手に、キスするなよ……!」
これを言っておかないと、俺が受け入れているみたいで癪だ。
【カヴィガン】
「いけなかったのか?」
既視感のあるやり取りだ。
カヴィガンはそれを楽しんでるようにも思える――のはうがち過ぎか?
【シンリ】
「だから……」
【カヴィガン】
「そういう雰囲気にしたお前も悪い。
展望塔でも言ったが俺はお前に欲を持っている。
お前が思うよりずっと深い……」
【シンリ】
「…………っ」
感情が迷子になる。何て返せばいいのか分からなくなった。
また身体が熱くなってきた。
カヴィガンが視線を外して窓の方を見てくれたので
心底ほっとする。
【カヴィガン】
「キスといえば……」
まだ続けるか、この話題を。
俺も頭の中がキスで一杯だから人のことを言えないが。
【カヴィガン】
「初めてお前にキスした時、泣かれてしまって困った」
こいつ……俺に泣かれて難儀したネタばかり話すな。
もう少し、こう……いい思い出はないんだろうか?
【カヴィガン】
「謝れば嫌で泣いたわけではないと言う。嫌じゃないなら何故泣いた?」
【シンリ】
「――あの頃は、自分の気持ちを上手く言語化できなかった。
でも今なら分かる。なんで泣いたのか」
自分でも驚くほど自然に言葉が出てきていた。
最も遠い昔の思い出を共有している気安さからだろうか。
【シンリ】
「結婚するまでは身体を許すな、キスもしちゃいけないと
兄貴に言われてたんだよ……」
【カヴィガン】
「…………」
カヴィガンが窓から俺に視線を戻すのが気配で分かった。
ティーカップの水面に目を落としたまま、俺は当時の感情を
思い返しながら続ける。
【シンリ】
「もしそれを破ったらもう俺のことを弟とは思わない、って。
だから――言いつけを守れなかったことがショックだったのかも」
素直な気持ちを吐露した。カヴィガン相手には久しぶりに。
*
■2024/10/19
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その④。
深夜の遊戯室でカードに興じる主人公と暗殺者。
婚約者ルートなので他の攻キャラが若干応援ムード?
(面白がってるとも言う)
シンリ=主人公(受)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
*
カードを左手に持ち替えて、空いた方の手でワイングラスを掴んだ。
少しずつ口を付けている俺に対して、サガンはペースが速い。
【サガン】
「こんな夜ふけに部外者の僕とゲームなんかしてていいのかい。
婚約者と二人の時間を持ったら?」
やけに仲を取り持ちたがってるように感じる……
ということはカヴィガンは「依頼人」ではないのか?
【シンリ】
「二人の時間といっても……二人になれるタイミングがない」
嘘だ。本当はある。昨日の夜だってそうだった。
だが、何を話す?
今の俺は以前のように冷淡に応対できそうもない。
【サガン】
「別にそんなの。普通に誘えばいいじゃないか」
【シンリ】
「誘ったことがないから……どう声かければいいか分からない」
【サガン】
「じゃあ前はどうやって誘ったんだ。ほら、セックスした時さ」
【シンリ】
「あれも俺が誘ったわけじゃない。
手を出してきたのを拒まなかっただけだ」
【サガン】
「…………」
【シンリ】
「…………?」
【サガン】
「……君って本当――罪だよね。
今までクズな人間を腐るほど見てきたけど、その中でも極悪人だ」
【シンリ】
「そ、そこまで言われるようなことか……?」
自分が善人だと思ったことはないが、そこまで罪深いのか。
【サガン】
「話さないと依頼人捜しが何も進展しないよ。
自分から白状してくるんなら別だけど、向こうにしてみれば
そうするメリットがないからやらないだろうね」
こいつ、強いな。さっきからよく飲む。人の家の酒だと思って……
*
■2024/10/18
Waveboxからメッセージ下さった方、送信者限定でお返事しました。
ありがとうございます。
これまで何度か送信者限定でお返事をしてきたのですが、
ちゃんと届いてるのか心配になる時が……。
送ったけど返事きてないですよーという方はご一報下さい。
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その③。
婚約者ルート。
主人公は性欲を取り戻した後、婚約者を意識しはじめるが
その感情の変化を認められない。
シンリ=主人公(受)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
*
その夜は結局、自分の部屋に籠って過ごした。
夜に誰かの部屋に行くとあらぬ誤解を受けて面倒なことに
なりそうだからなのと、自分の身体の変化を慮ってのことだ。
……計画が狂ってしまった。なぜこうなる?
窓の近くに椅子を運んできて外を眺めていると、日付が変わり
寝る時間になった。
火掻き棒で暖炉の中を掻きまわしている途中、扉が二回叩かれた。
【シンリ】
「だ……誰?」
【カヴィガン】
「……俺だ」
【シンリ】
「カヴィガン……!」
――そ、そういえば、「今夜部屋に行っていいか?」の問いに
オーケーもしてないけど否定もしてなかったっけ。
展望塔でキスを受け入れていたら、今頃はカヴィガンにめちゃめちゃに
されていたのだろうか。
俺は深呼吸をしてから扉に向かった。
【シンリ】
「何の用……って聞くのは愚問だよな。ここの鍵は開けられない」
【カヴィガン】
「…………」
【シンリ】
「お前とはもう、する気はない。あの一回で懲りたから」
【カヴィガン】
「俺は懲りていない」
【シンリ】
「おまえが懲りなくても俺は懲りた。懲り懲りだ。
俺を満足させてくれなかった奴に……二度目なんてないんだよ」
【カヴィガン】
「シンリ」
【シンリ】
「……おやすみ」
息を詰めて気配をしばらく窺う。
吐息が聞こえた気がしたと思うと、彼が立ち去る足音が耳に入ってきた。
【シンリ】
「…………」
――これでいいんだ。
仮に彼からの愛情が本物だろうと、俺はそれを受け入れるわけには
いかないんだから。
夜着に着替えてベッドに潜り込む。
枕の下には昨日と同様、ナイフを忍ばせて……
*
■2024/10/14
(再掲)
制作中ゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオ抜粋その②。
殺伐とした晩餐会のシーン。
家族殺しを画策した者は誰かを探る主人公。
飛び入りのわりに場に馴染んでる暗殺者。
シンリ=主人公(受)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
バルサック=シンリの元家庭教師(攻)
カヴィガン=シンリの婚約者(攻)
*
【サガン】
「――バルサック先生、あなたは何が言いたいのかな」
【バルサック】
「二人で結託して悪事を企んでいる、と考えています。
我々が三人揃って招かれた真の目的もそこにあるだろうとね」
【サガン】
「僕がシンリ・ファルカークに依頼されて来た暗殺者で、
これからあなた方を殺すつもりだと? そう言いたいんですか?」
【バルサック】
「ご明察。まとめてくれてありがとうございます」
【サガン】
「だとしたらこんなふうに引き合わせないと思うけどなあ。
暗殺者が姿を見せるのは殺害予告に等しいんだから。
館に潜んで人の目を盗み次々に殺していく方が簡単だ」
【バルサック】
「普通であればそうでしょう。でもシンリくんは奇策を好む子だ。
私は彼のその性質をよく理解しているつもりですよ」
サガンはポタージュの皿にスプーンを突っ込んで苦笑めいたものを
俺に向けてきた。
【サガン】
「こんなことを言われてるけど、君は何か反論はないの?」
【シンリ】
「反論……? 何を反論しろと言うんだ」
【サガン】
「つまりさ、この先生は君と僕が手を組んで人殺しをするつもりだと
疑ってるわけだよ。けれど実際はそうじゃないだろう。
違うことは違うって言いなよ」
サガンは知らないが、バルサックの推測はあながち間違いではないのだ。
しかし俺の本当の思惑を知られると、窮地に追い込まれる場面出てくる
かもしれない。
ここははっきり反論はしないでうやむやにするのが得策だろうか。
*選択肢
1◆反論はしない
2◆やんわりと反論する
*1◆反論はしないを選択
【シンリ】
「――そう思いたければ勝手に思えばいい」
俺はあえて反論することはしなかった。
この《首斬り協会》の男の話もまだ聞いていない。
彼が敵だという可能性は依然としてあるのだから。
【サガン】
「……もう知らないよ」
ステーキの付け合わせの野菜をつつきながら、暗殺者は独りごち、
無口になった。
【シンリ】
「……先ほどこの集まりは何のためかと、そこの暗殺者に聞かれた。
招待状には母の隠し財産の分配のためと書いたが、本当の目的は他にある。
話したいことがあって呼んだんだ」
【バルサック】
「ほう。話がね」
【シンリ】
「三年前に端を発する当家の連続殺人にまつわる話だ」
肉を切ってフォークに刺す。口に入れて咀嚼してから顔を上げる。
全員の視線が敵意に満ちているように見えた。
【カヴィガン】
「……シンリ」
カヴィガンが低い声で俺を呼ぶ。
【カヴィガン】
「それは今この場でしなくてはならない話か?
料理の味を落とすような真似をわざわざすることはない。
食事が終わった後にいくらでも話せ。聞いてやる」
【シンリ】
「いや、食べながら聞いてもらう。
酒の肴にできるような話でもなし、血と肉となり生命の源となる
食事の最中こそ死の話題がもっとも相応しい」
【カヴィガン】
「意図がよくわからんな……」
【シンリ】
「分かってもらおうなんて思ってない。特にカヴィガン、お前には」
【カヴィガン】
「…………」
この中ではカヴィガンが一番付き合いが長い。
それなのに一番わかり合えないのもまた彼なのだ。
*
■2024/10/13
今日からシナリオ抜粋を再掲します。
ゲーム紹介ページの登場人物と合わせてお読み下さい~。
(再掲)
制作中のゲーム「戦慄のセンチメンタル」のシナリオの一部を掲載します。
山の上の屋敷に招待客が集い、そろそろ晩餐の時間――という時に
招かれざる客が!……というシーンです。
シンリ=主人公(受)
サガン=招かれざる客/暗殺者(攻)
エーリッヒ=シンリの執事(攻)
*
【???】
「客として迎えてもらえるんだったら礼儀として名乗らないとね。
僕は《首斬り協会》サガン・ソーン」
【エーリッヒ】
「《首斬り協会》……名に聞く暗殺組織じゃないですか」
暗殺組織は数あれど、首斬りという特徴的な手段を取る団体は少ない。
《首斬り協会》は長い歴史の裏で暗躍してきた、連綿と人殺しの血を
繋いできた一家だと聞く。
首を斬って持ち去るという手口から、俺とエーリッヒは彼らを
容疑者の一つに入れていた。
その組織に属すると名乗る者が来たということは――
家族殺しを裏で糸を引いてる者がいた証左にもなる。
俺は彼の方へ手を差し出した。
【シンリ】
「館への滞在を許す代わりに、隠し持ってる武器を預からせてもらおうか」
【サガン】
「武器? 持ってないけど」
【シンリ】
「暗殺者が何も持ってないわけがないだろ。ナイフの一本くらい携帯してるはずだ」
【サガン】
「さっきも言ったけど、館に来た目的は殺しじゃないんだ。
そもそもナイフ程度じゃ首は斬れない」
【シンリ】
「…………? 首をナイフで斬ることは可能だろう」
【サガン】
「僕の言う斬るとは首の切断――斬首だ。君の家族がそうされたようにね」
【シンリ】
「……斬首だろうが何だろうが手段はどうでもいい。この館にいる間、
流血沙汰を起こさないのを約束して欲しい。特にうちの使用人たちに
手を出すことは許さない」
【サガン】
「そこは大丈夫。早々に目的を果たして、陽が昇ったらすぐ出て行くよ」
【シンリ】
「目的とは何だ」
【サガン】
「ここでは言えない。後で君にだけ話すよ」
後でといっても、そろそろ晩餐会の時間だ。
客がいる手前、時間は守らなければならない。
【シンリ】
「わかった。晩餐の後に。あんたも晩餐に同席してもらう」
【エーリッヒ】
「同席って……お三方に彼を何て説明するおつもりなんです?
暗殺者ですよ、暗殺者。ためらいもなく首を斬る人殺しですよ」
【シンリ】
「その時になったら考える。それに……俺を含めて、全員脛に傷持つ奴らだ。
人殺しが隣に座ったとしても動じる者はいない」
【エーリッヒ】
「そうですかね……? 殺人晩餐会にならなければいいのですが」
客人たちはみんな二階にいるため、玄関ホールでの騒ぎは耳に
入ってないはずで、いきなりの部外者にも驚くはずだ。
誰かがこの男の言う《首斬り協会》と繋がっているのなら、何らかの反応を
見せるかもしれない――
サガン・ソーン……
彼の目的や話の内容は不明だが、それらが明らかになる前に
招待客の中で尻尾を出す者がいれば、手間が省けるというものだ。
*
■2024/10/12
Waveboxが雷まみれで嬉しいです。
季節的にはちょっと早いけどシナリオ内容的に合致してる雪に変更しました。
じゃんじゃん降らせて下さい~。
近々、去年アップしてたシナリオ抜粋を再掲するかもです。
■2024/09/08
リアル多忙ですが隙間を見つけてシナリオ書いてます。
Waveboxで雷鳴らして下さってありがとうございます。
めちゃくちゃ大量に来てビックリしてます……!
メッセージを入れて下さったら送信者限定公開でお返事させて頂くので
叱咤激励、過去作品のご感想、刺さる性癖、オススメのアイス……などなど
よろしかったら送ってください~。
■2024/08/14
Waveboxに雷の絵文字を追加しました。
バンバン鳴らしてください~。
■2024/08/07
雷が好きです。
なので過去作でも雷鳴がバンバン鳴り響いてます。
今は吹雪に翻弄されてることもあって(※シナリオの話)
雷が恋しい……!!
■2024/06/11
少しずつゲーム作りを進めてます。
「戦慄のセンチメンタル」は完成させたい~
■2024/06/09
今年も家賃という名のサーバー代を納めました。
■活動履歴■
2008年
The Tragical Death of S
25時のウロボロス
2009年
斬首人が連れて行く
Funeral Summer
2010年
清廉潔白純潔地獄-体験版-
Sink or doesn't sink?
獄主に捧げる降霊術
2011年
墓場行き埋葬列車-アルファベット版-
Grimorium Verum
GLORIA
2013年
25時のウロボロス-Off stage-
二人で棺桶へ
2015年
マルグリット・マリオネット-SRPG版-
2016年
僧正の朽ちゆく魔柩
彼が俺を殺すはずがない-番外編-
斬首人が連れて行く+X(CDパッケージ版)
2017年
深夜、実験室で
25時のウロボロス(DVDパッケージ版)
2018年
アスタリスクに挟撃された深海魚(サークル10周年記念同人誌)